1. トランプ氏の「関税」政策とは?
ドナルド・トランプ氏(第45代米大統領、2024年選挙では共和党候補)は、
「アメリカ・ファースト」を掲げた経済政策の柱として強硬な関税政策を展開しました。
とくに2018年以降、中国をはじめとする多くの国との「貿易摩擦」を激化させ、
世界のサプライチェーンや市場に大きな衝撃を与えたのは記憶に新しいでしょう。
トランプ氏の主張は「不公正な貿易慣行からアメリカを守る」「米国の雇用を守る」というもの。
このため、鉄鋼やアルミニウム、さらには自動車、家電製品、農産品など広範な品目に追加関税をかける政策を打ち出しました。
2. なぜトランプは関税を重視したのか?
トランプ氏の「関税重視」は、
- アメリカの貿易赤字(とくに中国との巨額赤字)
- 米国内産業(製造業・農業)の空洞化
- 世界各国の“アンフェア”な貿易慣行への反発
を背景にしています。
とくに中国に対しては「知的財産権の侵害」「補助金による過剰生産」などを理由に、
2018年から最大25%の高関税を段階的に導入。
同時にカナダ・メキシコ・EU・日本など他の主要国にも「不公平な貿易ルールには対抗する」と主張してきました。
3. 実際の関税政策の内容とそのインパクト
● 中国への関税強化
2018~2020年にかけて、トランプ政権は中国からの約3700億ドル分の輸入品に関税をかけました。
これには、
- スマートフォン、PC、家電などの消費財
- 機械や部品
- 鉄鋼、アルミ
- 農産品
など幅広い品目が含まれます。
この結果、中国からの米国向け輸出は一時減少し、中国側も米国製品(大豆、牛肉、自動車など)への報復関税で応戦。
米中貿易戦争と呼ばれる激しい関税の応酬となりました。
● その他の国・地域への関税
- 鉄鋼・アルミ:世界各国(日本・EU含む)に25%/10%の追加関税
- 自動車:EUや日本への「自動車関税」もちらつかせた
- **北米自由貿易協定(NAFTA)**の再交渉
→ 新たに「USMCA(米・加・メキシコ協定)」を発効
4. 米国経済と消費者への影響
● メリット
- 米国内製造業への一時的な保護
- 一部の工場や雇用が復活
● デメリット
- 関税によるコスト増が消費者価格に転嫁
- 家電・自動車などの値上げ、農産物の輸出減
- 報復関税で米農家が大打撃を受け、政府による多額の補助金投入
- 企業のサプライチェーン分断、投資抑制
米国商工会議所などの試算では、「平均的な米国世帯が年間数百ドル分の追加コストを負担した」という分析もあります。
5. 世界経済・日本への影響
トランプ氏の関税政策は、
- 世界的な貿易量の縮小
- サプライチェーン再編(脱中国・米国回帰)
- 世界的な株価変動、為替の不安定化
など、多方面にインパクトを与えました。
日本も「鉄鋼・アルミ関税」や「自動車関税」の脅しにより、
米国市場向け製品の価格競争力を懸念。
自動車メーカーは米国内生産を増やす動きや、政府間交渉を加速しました。
6. バイデン政権との違い・2024年再登場後の動向
バイデン政権も一部の中国製品に関税を残しつつ、
「同盟国と協調した通商政策」を重視。
しかし2024年の選挙でトランプ氏が再び政界の表舞台に立つと、
「もっと大規模な関税を復活・拡大する」と明言し、
- すべての輸入品に10%の関税
- 中国製品には最大60%もの“超高関税”
という案も表明しています(2025年春現在)。
これは“米国製造業の完全復活”や“雇用の本格的奪還”を目指すとされ、
「グローバル化の逆流」「新たな貿易戦争」への懸念が世界で高まっています。
7. 世界はどう受け止めているか
- 中国:米国製品への報復関税を継続、独自のテック開発や内需拡大を強化
- EU・日本・カナダ等:トランプ再登場に警戒、関税回避やサプライチェーン強化で対抗
- 米国内:労働者・製造業では一部支持も、農業・消費者には不安の声も多い
特に“サプライチェーンの脱中国化”は米中以外の国(日本やASEAN等)にとっても今後の大きなテーマです。
8. 関税強化の「これから」をどう読むか
トランプ氏の関税政策は「短期的な産業保護」「政治的パフォーマンス」と捉える声もありますが、
世界経済は中長期的な供給網再編・物価上昇・地政学リスクに直面しつつあります。
日本や世界の企業も、
- 米国市場での競争力維持
- 新たなサプライチェーン構築
- 為替・金利変動リスクへの備え
など、従来以上のグローバルな対応が求められています。
まとめ
ドナルド・トランプ氏の関税政策は、単なる「アメリカのため」の枠を超えて、
世界の貿易・産業・国際関係に大きな変化をもたらしました。
2024年の大統領選で再び現実味を帯びてきた「関税強化」は、
これからのビジネスや私たちの暮らしに、ますます深い影響を与えることになるでしょう。
今後も「トレンドまとめナビ」では、アメリカ大統領選と世界経済、関税政策の最新動向を引き続き追いかけていきます!